
村尾里奈(1975年、名古屋市生まれ)愛知県在住、愛知県立芸術大学美術学部彫刻専攻 准教授。
金属による構造体を通して、人間の身体と精神の空間性を探求する彫刻作品を制作。
人と、自らを超えた広がりとのつながりを主題としている。
音楽家の家庭でヴァイオリン、ピアノ、パーカッションを学んで育ち、幼少期の一部を米国ペンシルベニア州およびニューヨーク州で過ごす。音楽と言語のリズムの構造と空間性は、現在の彫刻制作に影響を与え続けている。
愛知県立旭丘高等学校美術科にて日本画と彫刻を学び、卒業後米国に留学。ニューヨーク州アルフレッド大学アート&デザイン学部にて、学士号を取得 (1998年)。器に風景を描くウェイン・ヒグビー教授に学ぶ。
留学中、人文地理学への関心を深め、人間・空間・場所に関する哲学に触れる。空間と場所を作る視点を学ぶため、ハーバード大学GSDデザイン大学院キャリアディスカバリプログラム (1997年 単位取得)にてランドスケープ・アーキテクチャーを学び視野を広げる。アルフレッド大学卒業時には、風景や大地とのつながりをテーマとした大型野外作品を制作。
帰国後、愛知県大府市の彫刻家石浜学に金属加工を学ぶ。2000年より東京藝術大学大学院彫刻科にて木戸修教授に学び、修士号(2002年)、博士号(2006年)を取得。帰国の途上、上空から眺めた日本の都市がコンクリートの「マッチ箱」の集積のように見えたことが強く印象に残る。箱から箱へと移動する住空間の経験が身体の感覚に蓄積され、人間の空間性を支える構造となると考えるに至り、以後の制作の中心的概念となる。初期の作品《昨日の箱庭》(2002)、《隠れ処》(2005)は、東京藝術大学大学美術館所蔵。
共感を寄せる言葉に、「空間は人間に手足のように属している」(ボルノウ) 、「空間は存在の友である」(バシュラール)、そしてルームの壁が近づいてくるというカーンの言葉がある。
近年は、人間の空間性のうち、自己の延長として外へ開かれる境界空間を「バルコニー」と名付け、その縁と水平線との共鳴をテーマとした作品を制作している。さらに作品を屋外に展開するため、金属の表面処理の可能性を探究し、光の干渉現象を取り入れた作品の制作に取り組んでいる。